前十字靭帯断裂とは?原因や症状、治療方法を解説
2023.05.09
犬猫の前十字靭帯断裂は、後ろ足の膝の部分にある靭帯が部分的または、完全に断裂した状態です。
飼い主様はペットが足を痛がったり、跛行(正常に歩行できない状態のこと)したりする症状がみられた場合には、すぐに動物病院に連れていく必要があります。
本記事では、犬猫の前十字靭帯断裂について症状や原因、治療方法を解説していきます。
犬猫の前十字靭帯断裂の原因
犬猫の前十字靭帯断裂の原因は以下のようなものが考えられます。
・靭帯の変性
・膝蓋骨脱臼などの基礎疾患
・肥満
・ジャンプやダッシュなど急激な運動
前十字靭帯は加齢により、変性を起こし損傷や断裂を起こしやすくなります。
また、膝蓋骨脱臼などの膝の基礎疾患がある場合や急激な運動を行う場合などにも、前十字靭帯断裂の可能性は高まります。
肥満も前十字靭帯断裂の危険性を大きく高めるため、飼い主様は普段から体重管理を行わなければいけません。
犬猫の前十字靭帯断裂の症状
犬猫の前十字靭帯断裂の症状は以下のようなものが考えられます。
・跛行
・足を地面につけず、歩く
・足を痛がる
・正常に座れない
特に歩行異常を認めるケースが多くみられます。
また、前十字靭帯が好発するのは、若く活発な大型犬種や膝蓋骨脱臼など膝に基礎疾患を持っている小型犬が多く、猫での発生は少ないとされています。
前十字靭帯断裂は治療を行わないと改善しない場合が多いため、飼い主様はペットが前十字靭帯の症状がみられた場合、早めに動物病院に連れていくようにしましょう。
犬猫の前十字断裂の診断方法
犬猫の前十字靭帯の診断は身体検査とレントゲン検査が必要です。
身体検査では、前方引き出し試験や脛骨圧迫試験と呼ばれる検査を行い、脛骨の可動域を調べます。
レントゲン検査では、大腿骨と脛骨の位置関係や、関節の脂肪の炎症などを確認します。
前十字靭帯断裂は、見た目や血液検査では、わからない病気であるので、身体検査とレントゲン検査の結果から総合的に診断することが必要でしょう。
犬猫の前十字靭帯の治療方法
前十字靭帯断裂の治療方法は以下の通りです。
・外科的療法
・内科的療法
外科的療法では、人工靭帯を関節外にかけたり、脛骨を切りプレートで固定したりする手術を行います。
小型犬や、損傷の程度が低い場合は抗炎症薬や痛み止めを使用しつつ、ケージの中で安静にする内科的療法で治療を行います。。
また、手術を行った後も、正常に歩けるようになるためのリハビリ療法が必要です。
まとめ
本記事では、前十字靭帯断裂の原因や症状、診断方法などについて解説してきました。
前十字靭帯断裂は、歩行異常がみられ、放置しているとその他の関節疾患に繋がります。
飼い主さんは、愛犬の歩き方を日頃から観察し異常がみられたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
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参考文献
Small Animal Surgery 3版 下巻 P1398-14221