犬の前十字靭帯断裂に対するTPLO手術について
犬の前十字靭帯断裂に対するTPLO手術
前十字靭帯断裂は、犬では比較的メジャーな運動器疾患です。 TPLO手術はこの病気に対する外科治療法であり、罹患犬の回復が早く、合併症も少ないというメリットがあります。 執刀できる獣医師や施設は限られていますが、前十字靭帯断裂の外科治療法として、TPLO手術はこれから主流となると考えています。
前十字靭帯断裂とは
膝関節では、交差する前十字靭帯と後十字靭帯が関節の安定や運動に重要な役割を担っています。犬では、このうち前十字靭帯が損傷しやすいとされており、損傷した靭帯が切れてしまうことがあります。これが前十字靭帯断裂です。
本病は、人間ではスポーツや交通事故など突発的な原因が多いとされていますが、犬では遺伝性、肥満、加齢、ホルモンなどの慢性的な影響で徐々に靭帯が損傷することがほとんどです。
前十字靭帯が断裂した犬では膝関節が不安定になり、運動障害が起こります。また、膝で骨同士がぶつかることで関節炎が起こり、患部に痛みが生じます。
程度はさまざまですが、動き出しが鈍くなったり、脚をかばう仕草が見られるのが特徴です。もし突然、後肢に体重をかけなくなったら、前十字靭帯が切れてしまっている可能性が高いと考えられます。
切れた前十字靭帯が自然に治癒することはありません。関節炎や変形性関節症は進行しやすく、現在では外科治療を受けた方が良いとされています。
TPLO手術（脛骨高平部骨切り術）
前十字靭帯断裂に対する外科手術には、切れた靭帯を修復する方法と関節面の角度を調節する方法があります。
TPLO手術（脛骨高平部骨切り術）は後者であり、脛骨を切り、大腿骨と接する関節の角度を調節することで、関節を安定させ、膝への負担を抑える方法です。
この手術は現在アメリカで最も一般的な前十字靭帯断裂に対する外科治療法であり、症状の改善が見られる可能性が高い治療法とされています。
数日後には軽く体重がかけられるようになるなど、術後の回復が早く、数週間で運動機能が徐々に回復すると言われています。ただし、切った骨の癒合など完全に回復するまでには数ヶ月はかかるため、安静は必要です。
合併症は他の方法と比べても非常に少ないとされていますが、術創や関節などの感染症や靭帯炎、半月板損傷、プレートの破綻、切った骨の癒合遅延などが報告されています。
当院の三角獣医師は、当院および北九州の小倉の動物病院での出張手術を含め、これまで多数の執刀実績がございます。当院での手術はもちろん、出張手術も対応しておりますので、ぜひご相談ください。