猫の変形性関節症
2023.04.27
猫の変形性関節症の症状、診断、治療方法と飼い主さんができること
猫の変形性関節症は、年齢を重ねることで発生する関節疾患の一つで、骨や軟骨の変性によって引き起こされ、症状としては痛みや運動制限、活動量の低下などが見られます。
本記事では、猫の変形性関節症の症状、診断方法、治療方法、飼い主さんが気を付けるべき点について解説します。
猫の変形性関節症の症状について
犬と猫の変形性関節症はゆっくりと進行するため、病気の初期段階では症状が見られないケースも多く見られます。また、加齢による活動量の低下とも間違われやすいので注意しましょう。
猫の変形性関節症の症状は、以下の通りです。
1.行動範囲が狭まる
猫が普段行っていた動作が制限され、高い場所に飛び乗ることができなくなる、階段を上り下りすることが困難になります。
2.痛み
歩く時に片方の足を引きずっている、関節部分に触ると嫌がるなどの痛みを感じるようになります。また、猫が体勢を変える際に、痛む関節を避けるような動きが見られることもあります。
3.活動量の低下
関節痛によって猫が自発的に運動しなくなるため、活動量が低下することも考えられます。
特にスコティッシュフォールドでは、骨軟骨形成異常から変形性関節症になることも多いので注意が必要です。
猫の変形性関節症の診断方法
猫の変形性関節症の診断は、症状を観察した上で、さらに関節や筋肉、腱、靭帯を触診する身体検査とレントゲン検査を行います。レントゲン検査での所見としては、関節の変形や骨棘の形成などが見られることが多いと言われています。
特に猫の場合、関節内に骨性増殖物が形成されるので、レントゲン検査は、変形性関節症を診断する際には、とても重要な検査となります。
猫の変形性関節症の治療方法
猫の変形性関節症の治療方法には、以下のようなものがあります。
1.薬物療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や痛み止めなどが用いられます。痛み止めやNSAIDsによって炎症を抑え痛みを緩和していきます。
2.栄養療法
関節炎には体重の管理が重要であるため、カロリー調整を含む栄養療法が行われます。
グルコサミンやコンドロイチンなどの関節を保護するサプリメントが用いられることもあります。
3.環境改善
猫が痛みを感じづらい環境を作ってあげることが必要です。高いところが好きな子には、高さのある場所に飛び乗るための階段を設置してあげるとよいでしょう。
飼い主さんが気を付けるべきことは?
猫の変形性関節症の飼い主さんが気を付けるべき点は、以下のようなものがあります。
1.早期発見
猫の変形性関節症は、加齢により発生するため、飼い主さんが早期に症状に気づき対処することが重要です。
猫の運動量が低下し、痛がるような動作を見せたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
2.体重管理
変形性関節症には体重の管理が重要です。肥満は関節にかかる負担を増加させるため、食事のカロリー調整を行いましょう。
3.運動量の調整
痛みによって、関節を動かさない期間が続いてしまうと、動いた時にさらに痛みを感じるようになってしまいます。飼い主さんは、獣医師と相談して適度な運動を行うようにしてください。
4.環境改善
猫が痛む部位を避けるような環境改善が必要です。階段部分にスロープをつけたり、滑りづらい床に変更したりして猫が痛みを感じづらい環境を目指しましょう。
まとめ
猫の変形性関節症は、年齢を重ねることで発生する関節疾患で、痛みや運動制限を引き起こします。激しい痛みを伴う場合には、歩けなくなることもあるので注意が必要な病気です。
飼い主さんは、早期発見、体重管理、運動量の調整、環境改善などを行うことで、猫の変形性関節症の症状を和らげることができます。獣医師と相談しながら、猫が快適に過ごせるような治療やケアを行いましょう。