猫の骨軟骨異形成症
2023.04.03
猫の骨軟骨異形成症の症状、診断方法、治療法は?飼い主ができる対策についてもご紹介
猫の骨軟骨異形成症は、猫の骨や軟骨に変形が生じる遺伝性の疾患であり、スコティッシュ・フォールドやマンチカンでの発症が多いことで知られています。若齢や成長期に多く発生し、関節の痛みや歩行困難などの症状を引き起こすことがあります。今回は、猫の骨軟骨異形成症について、症状、診断方法、治療方法、飼い主さんが気をつけるべきポイントについて解説していきます。
猫の骨軟骨異形成症の症状
猫の骨軟骨異形成症の症状は、以下のような症状が生涯にわたって進行していく場合もあります。
1.関節痛
痛みが生じ、関節が動かしにくくなります。痛みが強くなると、猫が歩けなくなる場合もあります。
2.歩行困難
足の動きが制限されるため、歩き方に異常が見られます。足を引きずって歩いたりなったり、歩くスピードが遅くなったりすることがあります。
3.骨や関節の変形
関節の周囲の骨や軟骨に変形が生じ、コブ状に腫れることもあります。
この変形が進行すると、関節の可動域が制限され、痛みが強くなります。
猫の骨軟骨異形成症の診断方法
猫の骨軟骨異形成症を診断するためには、以下のような検査を行う必要があります。
1.身体検査
獣医師が、猫の関節の可動域や痛みの程度、変形の有無などを調べます。また、猫の骨や筋肉に触診し、問題がある箇所を特定することができます。
2.画像検査
X線検査が一般的に用いられます。X線検査により、骨や軟骨の変形の程度を確認することができます。
猫の骨軟骨異形成症の治療方法
猫の骨軟骨異形成症の治療は、完治させることはなかなか難しい病気ですが、症状の進行を抑制、緩和するためには、以下のような方法があります。
それぞれについて解説していきます。
1.薬物による対症療法
痛みを軽減らすために、鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬物療法が行われます。また、炎症を抑えるステロイド薬などが用いられる場合もあります。
2.外科手術
重症の場合には、手術が必要な場合があります。手術により、関節の可動域を改善したり、骨や軟骨の異常部分を除去したりすることができます。
しかし、四肢全てに骨軟骨異形成症の症状が出ていることが多いため、全てに対処することは負担も大きく困難な場合が多いと言われています。
3.放射線療法
放射線を患部に照射して、症状の改善を促す治療方法です。重度の骨軟骨異形成症で適応になります。
歩行異常などの症状が改善したとの報告もありますが、放射線を照射しますので、副作用も出る可能性があります。
猫の骨軟骨異形成症で飼い主さんが気をつけるべきポイント
猫の骨軟骨異形成症を予防するためには、飼い主さんは、以下のようなポイントに気をつける必要があります。
1.早期に動物病院を受診する
猫の骨軟骨異形成症は、進行性の病気であるため、放置しているとどんどん症状が進行して行ってしまいます。飼い主さんは、上記のような症状を認めた場合には、放置せずにすぐに動物病院に連れていくようにしてください。
2.生活環境の改善
骨軟骨異形成症になった猫では、痛みからジャンプできなくなったり階段を登ることが難しくなったりします。
そのため、飼い主さんは生活環境から段差をなくして歩きやすくしたり、高いところへ登るためのスロープをつけたりするなど対策を立てて生活環境の改善を行うようにしてください。
まとめ
猫の骨軟骨異形成症は、スコティッシュやマンチカンに多い関節疾患です。
生涯にわたって病気は進行していくため、飼い主さんは、早期に発見してあげて病気の進行を抑制しなくてはなりません。
もし猫が骨軟骨異形成症になってしまった場合には、猫が過ごしやすい環境を作ってあげることで、生活の質を上げることができます。
現在の生活環境を見直してみて、猫が快適に暮らせるように環境を整えてあげましょう。