日常生活での怪我に注意│犬の股関節脱臼症
2023.01.12
犬が急に後ろ足をあげてつけられなくなってしまったり、足を痛そうにしていたりしていたことはありませんか?
我々人間にとって「脱臼」は日常的に起きるものではありませんが、犬の場合は前述の様子が見られたとき、比較的よく疑われる疾患です。
股関節が脱臼してしまう股関節脱臼症がその原因の一つです。脱臼してしまった股関節はほとんどの場合自力で戻ることはなく、動物病院での治療が必要です。今回は犬の股関節脱臼症について解説します。
症状
股関節は大腿骨頭(読み方:だいたいこっとう、大腿骨の突起のこと)と寛骨臼(読み方:かんこつきゅう、大腿骨の突起がはまる窪みのこと)で形成されており、それぞれを靭帯が繋いでいます。強い衝撃で靭帯が切れて外れてしまうため、強い痛みが生じます。
症状が出ている際は片足を地面につけられず、けんけんして歩いているような状態になり、その足を触ると嫌がったり痛がったりします。
股関節脱臼症は犬が以下のような動きをした際に発症することがあります。
・急な方向転換をする
・カーペットで滑ってしまう
・ジャンプして着地に失敗する など
治療法
基本的に股関節脱臼症が疑われる場合は、動物病院での治療が必要になります。
触診とレントゲン検査を実施した後、鎮静や全身麻酔をかけた上で、元の位置に股関節を戻さなければなりません(人間の肘や肩を脱臼したときのように、獣医師がうまく後ろ足を動かして元の位置に戻します)。
うまく元の位置に戻せたら、包帯で固定します。2週間ほどは包帯で固定したまま維持し、その間は自宅で安静にさせておきましょう(お散歩も厳禁です)。
また、包帯を巻く際には毛を刈る必要があります。包帯で皮膚が荒れてしまう場合がありますので、皮膚の状態は自宅でもよく観察しましょう。包帯を外しても再脱臼しなければ治療は終了です。
1度脱臼してしまうと、支えとなっていた靭帯がなくなってしまうため、容易に再脱臼する場合があります。
場合によっては、病院で治療して家に帰ると再度脱臼していた、なんてこともあり得ます。
そのため、元々股関節が浅い場合、もしくは緩い場合は手術が必要になります。
日常の注意点
股関節脱臼症の原因として特に多いのは、フローリングの床で滑ってしまうことです。
フローリングを張り替えるのはあまり現実的ではないため、ゴム性のマットや貼り付けるタイプの滑り止め用マットを使用しましょう。
加えて、段差から飛び降りることをやめさせるか、スロープや着地場所にクッションを置くようにしましょう。
まとめ
今回は犬の股関節脱臼症について解説しました。
後ろ足に異常が見られる、歩き方がおかしいなどの特徴を持つ病気は他にも数多く存在します。
もし、同様の症状が見られたら当院にご相談ください。